NO RULES RULES
Netflixの現在の規模へ成長していく過程とその特殊な企業文化が書かれた『NO RULES』を読んだ。
ちなみに原題だと『NO RULES RULES』で、No Rulesと言うとちょっと語弊がありそうだが、日本向けにはシンプルなタイトルにしたんだろう。
DVDの宅配サービスから始まり、全世界で1億人以上の会員、アカデミー賞ノミネート作品を多数制作するまでになった。 Netflixとはどのような企業なのか、どのようにして自由な社風、ハイパフォーマンスを出し続ける組織を作ったのか。
その内容は普通の企業が真似するのはかなり難易度が高いと感じた。 というか日本企業が始めるには無理ゲーに近いやり方だ。
Netflixは企業の成長段階を大きく3段階にわけている。 そのどの段階でも共通している3つの軸があり、成長段階で変わるのは、その3つの軸のレベルがそれぞれ上がってくる。
3つの軸とは、
- 能力密度を高める
- 率直さを高める
- コントロールを撤廃してく
1. 能力密度を高める
これがNetflix組織のベースとなってるが、日本企業は法的に難しい。
Netflixでは凡庸な社員はいない。
また、パフォーマンスは高いが、コミュニケーションに難があったり、やる気がないといった人もいない。
たとえスキルが高くてもチームにとって悪影響を及ぼすような人であれば、高い退職金が支払われる。
その代わり従業員には市場価値の最高水準の給与を払う。
もし他の企業が現在より高いオファーを出すようならそれより高い金額を出すことを約束している。
ハイパフォーマーだけを集めると、足を引っ張る人がいないので、社員はどんどん成長するという。
残酷だが、これに振り切ったのがNetflixという感じ。
この方針に振り切ったのは、財務危機に陥ったときに、多くの社員をレイオフした。
その時残った社員のモチベーションは下がるんじゃないかと心配したが、寧ろ格段と会社の雰囲気は良くなった。
その経験から、Netflixでは最高の人材だけを集めることに徹底したという。
2. 率直さを高める
優秀な人材だけを集めることができれば、率直なフィードバックを与え合うことができる。
フィードバックガイドライン 4A(+1A)
Netflixでは、4Aというフィードバックを与えるガイドラインがある。
フィードバックを与える
1. 相手を助けようという気持ちで(AIM TO ASSIST)
フィードバックは相手を助けようという気持ちで行う。
自分のイライラを吐き出すため、相手を傷つけるため、自分の立場を上にするためといった行動は許されない。
2. 行動変化を促す(ACTIONABLE)
フィードバックは具体的にどういう行動に変えるべきかにフォーカスする。
フィードバックを受ける
3. 感謝する(APPRECIATE)
批判されると、人どうしても自己弁解したり、言い訳をしたくなる。
自尊心や自分の評価を守ろうとする。
この気持ちを抑え、まずは真摯に受け取り、感謝する。
4. 取捨選択(ACCEPT OR DISCARD)
Netflixでは様々なフィードバックを受ける。
だがそれは全部を受け入れる必要はない。どうするかは自分で決める。
このことについても、フィードバックを与える人、受け取る人双方で理解が必要。
+1A というのは後に海外展開したときに、各国のカルチャーに適応するために、 適用させる(ADAPT)が加わった。
これも日本人はかなり難易度が高い。実際この本にも日本支社でフィードバックが最初はうまく行かなかった例が書かれている。
日本人は相手を気遣い遠回しな言い方をするので、立場やタイミングに関係なくフィードバックを与えるのにはハードルがある。(逆にオランダ人はアメリカ人より直接的すぎるので、逆のハードルがあった)
Netflixでは公式のフィードバックの場を作ることで、解消したということ。
正直自分もダメ出しされると、かなりストレスを感じてしまい、言い訳をしてしまう。
これがお互いが超優秀で、フィードバックガイドラインを理解した相手同士だと、うまく循環できるということで、ちょっと凡庸な自分にとっては現実感が持てない。
3. コントロールを撤廃していく
そうして出来上がった、優秀な社員しかいない組織で、お互いをひたすら高め合う組織が出来上がると、あらゆるコントロールは無くすことができる。
できるというより、無くしたほうが更に成長できる。
更に言うと、コントロールなマネジメントは不要で、コンテキストなマネジメントになる。
コンテキストとは、「Netflixの利益を最優先に行動する」ということ。
このコンテキストに基づいていれば、経緯をいくら使おうが、誰からも承認を貰う必要がない。
また、いくら休みをとっても構わない。
ただ、自由の引き換えに責任がついてくる。
コンテキストを勘違いし、私欲に自由を使ってしまったら即クビ。
さいごに
今自分のいる組織に当てはめるのが無理なのは間違いない。
だけど細かい要素だったり、自分の気持ちの持ち方みたいなのは参考になったと思う。
チームビルディングについてはずっと悩んでるけど、まずは、ここらへんで、入社当時の謙虚さに立ち戻る必要があるかもしれない。
それがより良いフィードバックを与えたり、受け取る心構えになる気がする。
the cover image is quoted from Netflix